今ではすっかりショーンコネリー張りの頭を光らせたおじいさんとなってしまった彼だけど、この日はニットの帽子を被って、淡々とイマジンを歌い上げていた。観客もみんなイマジンを歌っていて、すっかり会場はひとつになったという感じだった。まあ、この曲は誰が歌ってもああいうシチュエーションなら皆感動するもんだろうと思って私は見ていた。第一、多くの人は誰が歌っているかなんて気にも留めなかっただろうから。。。しかし、何で彼がトリノで、しかもオノ・ヨーコと共演したんだろうね?
ともかく、最近、ピーガブの1stと2ndをたまたまアマゾンに注文している最中だったので、偶然ピーガブの姿が見れたのはちょっと嬉しかった。
ところで注文したのはリマスター版のUKだかUSだかEUR盤で、トリノでピーターを見た数日後にやっと配送されてきた。じつはこの2枚だけはLPで持っている。でもすぐに聴けないし、やはりリマスターというのに惹かれてしまう。2,3年前、これの紙ジャケが出たとき一瞬買おうかな、と思ったけど、実物があるから止めといた。
1stと2ndにはタイトルが無い。3rd、4thにも無いのだけれど、それぞれに通称があって、1ndは"Car"、2ndは"Scratch"、3rdは"Melt"、4thは"Security"といわれている。ジャケットの印象からだと思うけど、なんで4thがそういわれるのかよくわからない。。。(知っている人、教えて〜)
その"Car"アルバムは、まだピーターがそれまで在籍していたGenesisっぽさが残っており、これはこれで、ジェネシス好きの人には受ける音だった。(私がそう♪)有名どころは"Solsbury Hill"、これは最近ではトムクルーズの映画『バニラ・スカイ』にも登場する。
"Scratch"アルバムはもっとポップな音作り。ポップといっても、普通のポップさじゃない。なんかひねた感じのポップである。さすがロバート・フリッププロデュースだけのことはある。丁度、ジェネシスがポップさを身に着けていった時期と重なっているけれど、ちょっと方向が違っている。でも、このポップさも2枚目だけ。3枚目、4枚目はもっと音が重くシビアになっていく。5枚目"So"は、またポップさが戻るけど、こっちはカッコいいポップ、直球のポップだ。一連のアルバムの中では2枚目だけちょっと異色な感じではある。
ピーガブに関しては、私がリアルタイムで聴いていたのは2枚目まで。その後、5枚目"So"が大ヒットするのだが、その時に"Sledge Hummer"のPVがMTVで取り上げられたのがきっかけでまた聴くようになったのだ。気がついたら、なんかえらくポップな音になっていてちょっとびっくりしたものだった。でも、"So"は聴き倒した。その頃はあまり熱心に音楽を聴いていたわけじゃなかったけど、このアルバムは特別だった。
そして、その後のピーガブは寡作ながらも、まだまだ現役。2002年には"Up"という久しぶりの新作も出し、そして今年、トリノで全世界に向けてイマジンを歌ったのだった。
最近のUKのアーティストにElbowというのがいるけれど、私が聴いた"Snowball"という曲(チャリティアルバム"Help A Day In The Life"に収録)が、サウンド的にも声の質も実にピーガブに似ていた。多分少なからず影響を受けているのだろうと思う(と勝手に推測^^;)
BGM: Peter Gabriel "Home Sweet Home"